長いことスキンシップが苦手だった。
けど、本当はすごく求めていたんだと気付いた。
中高生のころ、友達にくっつかれるのが苦手だった。
腕を組んだり、手をつないだり、膝に座って「抱っこ~」みたいな、女の子同士でよくあるやつ。
当時の私はされるがままになっていたけれど、内心では「ひい~~」とぞわぞわしていた。
その子たちが嫌いとかではなく、むしろ一緒にいてすごく楽しかった。
でも肌が触れ合ったときの、あのしっとり感、あの生ぬるさが、どうしてもムリだった。
でも、もっと幼い頃はスキンシップに抵抗がなかったと思う。
母にはよくくっついていたし、友達と手をつなぐのも大丈夫だった。
ただ父は、どちらかというと触れ合いが得意じゃないタイプだった。
それに対して、歳の違いいとこは、お父さん(私の叔父)からよくハグされていて。見ていてすごく羨ましかったな。
そんな父と、中学生くらいの頃、一度だけ手をつないだことを鮮明に覚えている。
家族旅行の帰り。特急列車に乗っていて、窓の外はもう暗かった。
姉にちょっとからかわれたことが原因で、私がへそを曲げて泣き出してしまい。駅に着くと、気分転換に構内をぶらぶら散歩させてくれた。
すると、父が手をつないでくれて。
そのときの感覚は今でもじんわり思い出せる。
あったかくて、嬉しくて。
もう機嫌は直ってるのに、泣き過ぎた余韻のしゃくり上げがなかなか止まらず、照れくさい気持ちでうつむきながら、手をぎゅっと握って歩き続けた。
両親が離婚してからも、その思い出は色褪せなかった。
むしろ、その反動でスキンシップが苦手になってしまったのかも、とも思う。
スキンシップがイヤだ、苦手だと思っている裏には、強く強く求める気持ちがあるのかもしれない。
ちなみに今は、夫のおかげでハグ大好きです。