『官能小説表現用語辞典』という本があるらしい。
官能小説に使われる言葉や表現を解説した辞典・・・だそうだ。
日本語&えろ大好き人間としてはぜひとも読みたい!とわくわくがこみ上げたので、さっそく紀伊国屋書店へ寄った。
事前にネットでチェックしたら、在庫状況「◎」だった。これはラッキー。
でも、なかった。
いや見落としかもしれないと思い、一冊ずつ目でなめるように背表紙をサーチしたけど見つからなかった。
一瞬、お!?と思ったら『官能美術史:ヌードが語る名画の謎』だった。これはこれで気になるけれども。
途中、店内を散歩して戻ってきてもなかった。
それを繰り返していたら30分経っていた。
店員さんには聞けなかった。
恥ずかしいというのもあるけれど、探している時間のわくわく感を手放したくなかったのだ。
「本を読みたい」という気持ちより「ぜったい自力で見つけてやる!」という謎のパッションのほうが勝っていた。
もしすんなり店員さんが差し出してくれても、素直に受け取れない気がする。きっとその本は輝いて見えない。本は探している間も楽しいから。
人に言いにくい本なら尚更、ちょっとした秘め事気分を味わえてドキドキできてしまう。こんなんだから一生思春期と言われるんだろう。
結局見つからなくてちょっとしょんぼりしたけれど、よく見ると、ターゲットの棚には隙間があったのだよね。一冊の本が誰かに選ばれて旅立っていった後の、ほんのりとした温もりを感じる痕跡。
きっと、同じタイミングで同じ本を探しに来た仲間がいるんだと思う。
君が幸せならオッケー!また探しに来るよ!と、今日満足顔で店を後にしたのだった。