なぜコスモスは切り花にすると魅力がなくなるの?

素敵なものには、きっと「一番輝く瞬間」がある。
 
 
コスモスは、ちょっと特別な思い入れがある花なんです。

子供のころ、家族の中で「私の花はコスモス」という設定ができあがってました。
理由はハッキリ思い出せないんですけど、生まれた頃に咲いてたから、というような話だったと思います。
ちなみに姉は冬生まれなので椿でした。

そんなエピソードもあって、コスモスを見かけるとつい心が温かくなる。そんな花なんですよね。
 
 
で、先日ドライブ旅行に出かけたときのこと。
ふと目に飛び込んできたのは、道沿いにブワーッと咲き誇るコスモスの群生地でした。
その瞬間、「ああ、こういうことか!」って無性にしっくりきたんです。

というのも、お花屋さんに並ぶコスモスの切り花が、なぜか魅力的に見えないなーと常々感じていて。
花束やブーケの中に入っているコスモスを見ても、なんだかピンとこない。目が留まらないんですよね。

それが今回、野原いっぱいに咲くコスモスを見て、やっとわかったんです。
コスモスって、やっぱり「野の花」なんだって。
 
 
あの特徴的な葉っぱ。細くてふわふわして、光に透かすと煙のように儚げ。
そして意外と背が高くて、ヒマワリに負けないくらいすらっと伸びた茎。
「え、こんなに大きかったの!?」って驚くほどです。

それらが群生して、秋風に揺られながらサワサワ、ユラユラと踊る姿。
まるで自然が織りなす一幅の絵のよう。
 
 
切り花になると、この野性的な魅力が失われてしまうんです。
茎は短く切られ、葉っぱは整理され、花だけが残される。
それじゃあ、コスモスらしさが消えてしまう。

この発見は、なんだかひとつの真理を教えてくれているような気がしました。
 
素敵なものには、きっと「一番輝く瞬間」がある。
その姿のままで、ありのままで、最も美しく見えるときがあるんだって。

コスモスは、やっぱり野原で、風に揺られて、大空を見上げながら咲いているのが一番素敵なんです。
そんなことを思いながら、あの日の景色を思い出すと、じんわり温かい気持ちになります。